【業界研究:商社業界vol2】変化する総合商社のビジネスモデルと資源価格の下落がもたらす商社への影響

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著者:株式会社Via career

今回は商社業界の基礎知識として、【変化する商社のビジネス】と【資源価格下落がもたらす資源ビジネスへの影響】についてご説明させていただきます。資源に投資している比重が大きい三菱商事、三井物産、丸紅といった商社を志望する学生さんはぜひ参考にしてください。

1. 商社のビジネスモデル


15年3月期の連結純利益は、三菱商事が4005億円、三井物産が3064億円、伊藤忠商が3005億円、丸紅が1056億円、住友商事が▲731億円でした。400万社ある日本の企業の中で3000億円以上の純利益をたたきだすのは15社にすぎない中で、商社が3社もランクインしています。商社が何でそんなに儲かるのか。そもそも何をやっているのか。というのは外部から見れば非常に分かり辛いです。まずは、商社が何をやって、儲けているのかについて説明したいと思います。

【貿易】
商社の従来のビジネスは、何処かから品物を仕入れ、何処かに売ることで収益を上げる「貿易」でした。明治初期に諸外国と交易をすることで、外貨を稼ぎ、産業を興し、国を豊かに、強くしようと組成されたのが、三菱商事、三井物産といった商社でした。昔は、海外に支店があり、情報収集や、人脈構築できるのは商社以外ありませんでしたが、今ではメーカーなど、海外に直接支店をつくったり、インターネットの発展で情報収集なども容易になりました。

【事業投資】
そして、もう一つ。現在、商社のビジネスの中心になっているのが、他の会社に出資し、その会社を使って利益を上げる「事業投資(関係会社の収益を連結決算で取り込む)」になります。鉱山・エネルギーという資源投資も事業投資に含まれます。

― 商社のおけるビジネスモデルの変化

かつてであれば、さまざまな商品、まさに石油から自動車からファッションまで『輸出入』を行う貿易会社、というイメージの総合商社ですが、今は、競争の激化に伴い、①事業投資のように、海外の新しいビジネスにリスクマネーを投じる投資銀行のような側面もあれば、②複数の企業や政府までをもまとめて地域開発のプロジェクトマネジメントを支援するコンサルティング会社のような側面もあれば、③自ら鉱山開発を行う資源会社の側面もあれば、④電力事業に参入する電力会社の側面もあれば、⑤新分野の製造業に出資して経営に参画するメーカーの側面もあれば、⑥コンビニエンスストアやファストフードの経営に参加する小売サービス業の側面もあります。それが、現在の総合商社です。

― 商社のビジネス事例

(三菱商事)
三菱商事、総合水事業会社として、世界の水問題解決に貢献
三菱商事、サケ養殖3位のノルウェー企業買収へ (読売新聞)
三菱商事とJALUX、 マンダレー国際空港の30年運営権取得

(伊藤忠商事)
伊藤忠、インド向けLPガス供給事業会社に40%出資
伊藤忠、事海水淡水化装置大手とサウジアラビアでプラントの補修工事を受注(受注額は1億4200万リヤル(約38億円))

(三井物産)
三井物産、神戸の新設病院に間接出資、海外展開など支援へ(第三者割当増資を6億3000万円で引き受け、40.6%を出資)
三井物産、ブラジルで旅客鉄道事業に参画(投資額は500億円以上になる見込み)
一般消費者向け遺伝子解析サービス事業への参画

(丸紅)
メガソーラープロジェクト(最大出力52.5MW)
丸紅、新たな水ビジネス始動。ポルトガルの水道事業会社であるAGSを買収
丸紅、ミャンマーで最先端火力発電所 タイにも送電(総事業費は約3500億円)

(住友商事)
住友商事、東京の下水処理技術を輸出。マレーシアと初提携(500億円で受注)

2. 商社における資源ビジネス


2013年3月期の連結純利益に占める資源・エネルギーの割合は、総合商社大手7社の合計で4割強を占めており、総合商社事業の大きな柱になっています。ただ、16年3月期の純損益は、資源価格の下落などが影響し、三菱商事が1500億の赤字(前期は連結最終損益が4,005億円の黒字)、三井物産が700億の赤字を計上。丸紅も1200億の損失を計上し、連結純利益見通しを前の期に比べ、43%減に下方修正しています。

一方、昨年シェール事業から撤退し、金融や不動産など幅広い事業を展開する中国の国有企業グループに出資し、機械や繊維、食品といった非資源分野へシフトした伊藤忠は、3300億の純利益予想が確実になっています。三菱商事も、14年に1500億円でノルウェーのサケ養殖会社を買収し、非資源の業績は順調ですが、それを打ち消す勢いで資源価格が下落しました。

【5大商社の16年3月期連結純利益予想】(カッコ内は15年3月期実績 ※▲は赤字)
1位:伊藤忠商事、3,300億円(3,005億円)
2位:住友商事、1000億円(▲731億円)
3位:丸紅、600億円(1,056億円)
4位:三井物産、▲700億円(3,064億円)
5位:三菱商事、▲1500億円(4,005億円)

【商社収益の拡大 or 縮小の主な要因】
・伊藤忠…生活資材や繊維などが好調で、資本提携した中国最大の国有複合企業CITICグループの利益が寄与した。

・三菱商事…2012年に取得したチリの銅権益や豪州のLNGなどで減損損失を計上。すべての開発案件について将来の収益性を見直した結果、減損損失は4300億円に膨らんだ。チリでの銅開発が2800億円。取得時に1ポンド4ドルだった銅の価格が半分程度に下落。急回復は見込めないとして巨額の減損損失を計上する。

・三井物産…豪州や南米の資源エネルギー事業の減損損失を2600億円計上する。このうち1150億円がチリの銅開発案件。

・住友商事…マダガスカルのニッケル事業で770億円の減損損失を計上すると発表。新たにチリの銅開発で140億円、南アフリカの鉄鉱石関連投資で183億円の損失が発生し、15年4~12月期に計上した減損損失はトータルで1116億円となった。16年1~3月期にも、豪州の鉄鉱石などで600億円の追加損失が出る見込みと説明している。

・丸紅…資源価格の下落を受け、チリの銅事業やオーストラリアの鉄鉱石事業などで減損損失を計上。非資源関連でも穀物事業の利益が想定を下回ったのが響いた。

― 資源価格の暴落はなぜ起こったのか。

資源価格は1年前と比べて原油は約5割、鉄鉱石が約4割、銅も約2割下落しています。ものの価格は需要(欲しい量)と供給(売る量)の関係によって決まります。欲しいと思う人よりも売りたいと思う人の方が多ければ、ものの値段は下がります。逆に、売りたいと思う人よりも欲しいと思う人の方が多い場合には、ものの値段は上がります。

【原油価格の下落について】
今回の原油安の第一要因は、「需要<供給」になったことにあります。具体的には、「アメリカのシェール増産(供給の上昇)」、「中東(OPEC)の増産(供給の上昇) = 価格調整機能の放棄」、「中国や新興国の景気減速による需要減退(需要の減少)」によって、原油安が引き起こされたとされています。「利上げ(米国の中央銀行(FRBという)が政策金利を上げること)による資金引き上げ」も大きな要因の一つです。昨年半ばに1バレル100ドルを超えていた原油価格は、40ドル台半ばと半値以下にまで落ち込んでしまいました。

企業への影響としては、商社(例えば三菱商事)とか石油元売り(代表的なところで昭和シェルや出光)といった原油権益や在庫を抱えている企業は原油安で損失を抱える公算が大きく、逆に、純粋に輸入に頼っているような企業、たとえば電力会社だったり、輸送会社(ANAとか日本郵船)にとっては、メリットの方が大きいです。

【原油以外の資源価格の下落について】
資源安については、過剰投資/過剰生産調整の真っただ中にある中国を中心とした新興国の需要減が原因とされています。

例えば、ビルや工場の建築をはじめ、道路、鉄道、橋といったインフラの建築にも不可欠な鉄鋼。21世紀に入ってからBRICSに代表される新興国が急速に経済成長を遂げ、鉄鋼需要は年々凄まじい勢いで伸びてきましたが、鉄鉱石需要の大半を消費する【中国経済に減速感が出てきたこと】で、鉄鉱石価格の下落が生じました。世界最大の鉄鉱石輸出国である豪州は、一次的影響で見た場合、GDP(国内総生産)成長率を2.2%も引き下げることになり、また世界2位の輸出国であるブラジルのGDPへの一次的影響は、0.7%の減少になるとのことです。

3. まとめ


いかがでしたでしょうか。今回は【商社における資源ビジネス】について、基礎的なことを説明させていただきました。かつては貿易を中心に成長してきた商社ですが、競争環境の変化に伴い、資源や小売など、様々なビジネスモデルを展開するようになっています。その中でも、資源ビジネスにおける商社への影響は大きく、今日起こっている原油や鉄鋼、銅などの価格下落が商社の業績にも深くつながっていることを今回は説明させていただきました。三菱商事、伊藤忠、三井物産といった総合商社への就職を希望している学生は、ぜひ参考にしていただければと思います。

Via careerでは総合商社出身の方が代表として率いる企業がインターン先にあることや、総合商社内定を獲得した方のインタビュー記事もございます。ぜひこちらも合わせて読んでいただいて、「商社」というものに対するイメージをもっと膨らませてもらえたらと思います。

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