【業界研究:広告業界vol2】なぜ電通のような大手広告代理店がIBMといったコンサルティング企業を競合視しているのか?

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著者:株式会社Via career

前回の記事(【業界研究:広告業界vol1】電通や博報堂といった広告代理店が転換期を迎えている!?)でもご説明した通り、近年、大手広告代理店が「コンサルティングの領域」にビジネスを拡大する動きが見られます。今回はより踏みこんで、【なぜ大手の広告代理店が経営コンサルティング企業を競合と見るのか】について、考察していきたいと思います。

1. 広告最大手の電通がコンサルティング領域に進出している。


【電通のコンサルティング領域への動き】
電通は、2006年に電通コンサルティングを設立。2010年には、従来の広告領域だけでなく、クライアントやメディア、コンテンツホルダーの抱える経営戦略、事業戦略、商品開発、製造、チャネル開発など、多様になってきているニーズに対応していくために、「電通マネジメント・インスティテュート」・「電通マネジメント塾」を設置しています。

多様な経営課題や事業課題に対して、川上から川下まで、統合的なソリューションを提供し、4マスだけではない、さらなる収益を拡大するには、経営学から、組織論、アカウンティング、投資・M&A、グローバリゼーションといった経営の知識・スキル・ノウハウを習得した人材を現場に配置する必要があり、「電通マネジメント・インスティテュート」・「電通マネジメント塾」では、そういった経営に関する知識やスキル、ノウハウを幹部社員から学ぶ環境を整えています。(出典:「電通マネジメント・インスティテュート」と「電通マネジメント塾」を設置)

今年の就活で電通がデロイトやアクセンチュア、マッキンゼーといった、コンサルティング企業(日系・外資)に内定をもらっている学生を積極的に採用していく方針にあるのは、「リアルタイムビッティングと呼ばれるような広告入札の仕組みや、動画広告などの新しい形のデジタル広告が台頭し、今後マスメディアの扱いや広告クリエイティブだけでは、大きな収益拡大が見込めなくなってきている」以外にも、「クライアントのニーズの多様化によるビジネスモデルの変革の必要性」が背景としてあります。

2. 電通のライバルはIBM?


広告やグラフィックなどの業種である、デザイナー。今最も多くのデザイナーを抱えている企業は、広告代理店ではなく、IBMです。IBMが抱える人材は、従来のコンサルティング業務を行う、戦略コンサルタントから、組織のプロジェクトマネージャー、マーケティングオートメーションのエキスパート、グラフィックデザイナーまで多様です。IBMはコンピューターといったハードからソフト、経営コンサルティング領域に移行し、さらにその先の「デザイン」の領域へビジネスを展開しようとしています。

世界最大の経営コンサルティングファームのアクセンチュアも、デザインコンサルタント企業を2013年に、今年デジタルマーケティング事業を手掛けるIMJを買収している。マッキンゼー&カンパニーも2015年にデザインコンサルタント企業を買収しました。

米国におけるコンサル会社による広告領域への進出の傾向は明らかで、デジタルエージェンシーの売り上げランキングでは、2014年にはトップ3をIBM、デロイト、アクセンチュアのコンサル会社3社で占めてしまっています。もちろん、米国と日本では立ち位置や規模、事業ドメインが違うので、同じことが日本でも起きるとは限りません。

― 2つの意味がある「デザイン」

デザインには、グラフィックデザイン、webデザイン、プロダクトデザインといった狭義の意味と、ビジネスモデルの構築から、製品・サービス・販売チャネルの開発など、ビジネ種の全体プロセスの設計から、課題を発見し、具体的なアイデアから、具体的な解決策を導き、顧客に価値を提供する広義の意味での「デザイン」があります。

3. 広告代理店とコンサルティング企業。それぞれの強みと求める人材


― 広告代理店とコンサルティング企業の違い

広告代理店は、アドバイスだけでなく、「実行」までやり遂げる。
コンサルティング企業は、広告代理店が提案できない「コストカット(効率化)」の提案ができる。

従来、戦略系のコンサルティング企業は、経営戦略やIT戦略を(やり取りするのは、クライアント企業の経営企画部やシステム部が中心)、総合広告代理店は、文字通り広告領域を(やり取りするのは、クライアント企業の宣伝部やマーケティング部)主戦場としてきました。

そういった棲み分けが分れていたことで、戦略コンサルティング企業やITコンサルティング企業は、【戦略の絵を描いたとしても、現場でそれを実行するのは、広告会社であり、絵は描けるが実行まではできない】という構造ができていました。ただ、デジタル時代によって、境界が曖昧になりつつあります。

― 今後想定される3つのケース

① アクセンチュアがIMJを買収したことから見て取れるように、コンサルティング企業が、デジタルマーケティングを手掛ける企業を吸収、提携することで、戦略を立案し、描くことから、実行まで行うことが可能になる。

② 広告代理店が、コンサルティング人材の獲得、育成、コンサルティング企業を吸収、提携することで、「広告」を企業に販売する会社ではなく、商品やサービスを「広く告げたい」という企業の課題を発見し、実行だけでなく、戦略自体をも描けるようになる。

➂ コンサルティング企業が描いたデジタルマーケティング戦略の「広告」部分のみを広告会社が実行するという協働の形をとる。

― 広告代理店のコンサルティングにおける強みと、求める人材

広告代理店のコンサルティング業務には、コンサルティング企業にはない、伝統的な右脳型の発想力(クリエーティビティ)・提案力があります。そして、日常的なコミュニケーション・ビジネスを通じて、「顧客のより近いところにいる」ことで、顧客企業のインサイトをしっかりと把握しています。

まとめると、これからの経営コンサルティングファームに求められる人材はデザイナーやクリエイティブディレクターであり、広告代理店に求められるのはストラテジスト、エンジニア、データサイエンティストなどです。

今回は、広告業界vol2として、【なぜ大手の広告代理店が経営コンサルティング企業を競合と見るのか】について、基礎的なことを説明させていただきました。ぜひ参考にしていただければと思います。

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